「緊急事態宣言」「まん延防止等重点措置」について考えてみます。
コロナの行動制限は憲法違反であるという議論があります。
飲食チェーン「グローバルダイニング社」は、現在、東京地裁で裁判をしています。東京都知事による営業時間短縮命令及びその根拠となる「特措法」の違憲・違法を主張しています。
岐阜県では、2022年1月17日、県独自の「非常事態宣言」を出しました。
しかし、慶應義塾大の横大道聡教授(憲法学)は、各都道府県独自の緊急事態宣言は違法であると述べています。
コロナの行動規制は、法的に問題があり、科学的根拠もなく、統計的な意味もなく、効果の検証もできないまま、国民・県民に多大な犠牲を強いています。
ぜひ、本記事をご覧いただき、問題意識をお持ちいただければと思います。
「新型インフルエンザ等対策特別措置法」とは?
「緊急事態宣言」「まん延防止等重点措置」は「新型インフルエンザ等対策特別措置法」に基づいて日本国政府が発する布告(お知らせ)です。
「新型インフルエンザ等対策特別措置法」(以下、特措法)は、2012年に成立・公布、2013年に施行された法律です。
2021年2月3日に法改正され、緊急事態宣言のもとで、都道府県知事は施設の使用制限を「要請」できることに加え、正当な理由なく応じない事業者などには「命令」ができるようになりました。
さらに、緊急事態宣言や「重点措置」のもとでの「要請」や「命令」を行うために、必要な範囲で立ち入り検査なども可能となりました。
そして「命令」に応じない事業者には行政罰としての過料が設けられています。
「特措法」の問題点は?
慶應義塾大の横大道聡教授(憲法学)の見解を、小林よしのり氏が、簡潔に記載されています。
・・・現在のコロナ対策が憲法違反であるということを、横大道聡氏が完璧に証明してくれて、わしは胸のすく思いだった。
そもそも「公共の福祉」という概念そのものが曖昧すぎるという勧告を国連から受けているという事実はまったく衝撃だった。
現在の私権を制限する措置はそもそも「正当」「適法」ではないので、「私権制限と補償はセット」という論理は成立しない。補償ではなく、「賠償」が必要になるという論理も、目を見開かれた。・・・
各都道府県独自の「緊急事態宣言」による外出・営業等の自粛の「要請」は違法
下記は横大道聡教授の講演会での発言です。
「特措法は、緊急事態宣言のときには、休業まで求めることができる。まん延防止のときには休業まで要請できないが、時短要請までができるという立て付けになっている。このどちらにも該当しないときでも、24条9項を用いて、時短要請であれ、外出禁止であれ、営業停止であれ、できるという解釈に基づいて、各都道府県が独自の緊急事態宣言を出しているわけです。しかし、いま言ったような立て付けからすると、それは根拠にならないのではないかと思うわけです。
飲食チェーン「グローバルダイニング社」の訴訟について
飲食チェーン「グローバルダイニング社」は、現在、東京地裁で裁判をしています。東京都知事による営業時間短縮命令及びその根拠となる「特措法」の違憲・違法を主張しています。
グローバルダイニング社の訴訟について、横大道聡教授は、以下のように発言しています。
・・・要請に従わないイコール命令を出せるのではなくて、要請に従わないことについて「正当な理由がなく」、そして「特に必要な場合」、この二つのハードルを越えて初めて命令を出せる。そして、この命令に従わない場合に過料があるという仕組みになっているわけです。
しかし、この点がまさに話題にもなった、飲食チェーン・グローバルダイニング社の訴訟の争点の一つだったわけです。グローバルダイニング社に命令が出されたのは、緊急事態宣言があと 3 日で終了しますよ、というタイミングなわけです。なぜそのタイミングで出すことが「特に必要」なのかということが一つの争点になっているわけです。・・・
訴訟では京都大学の藤井聡教授(都市社会工学)が以下のように述べています。
藤井教授は、都が人流抑制や飲食店への時短要請などの根拠としている「新型コロナウイルス感染症対策分科会」の資料で、21時以降の人出抑制は感染対策上「有益」と記されていることについて、「有益」なる単語は統計学上存在しないと指摘。統計学的に問題となるのは恣意性を排した「有意」か否かだとした。
その上で、分科会資料と同じデータを使用し、大学の学部生レベルの一般的な手法で再度分析したところ、21時以降の人出抑制は「有意でない(意味がない)」との結果になったと証言した。
<朝日新聞 論座>
弁護団の一員である金塚綾乃弁護士は以下のように述べています。
私たちの自由を侵食した「行政指導」の罪(金塚彩乃 弁護士・フランス共和国弁護士)
コロナの中、法的強制がなくても人々はルールを守ったと称賛されることもあるが、現実にあったのは、過剰な「自粛警察」と相互監視の目であった。テレビなどのメディアはこぞって自粛をしていない人たちを探し出し、あたかも犯罪者であるかのように報道した。
飲食店の営業時間短縮という基本的人権である営業の自由を制約するにあたっても、行政(都道府県知事)は、裁判所において自らの判断の当否が問われる(問われ得る)行政処分という方法を使わず、こうした社会の空気に乗っかることで人々や事業者の「自粛」を引き出し、目的を達成することができた。強制なき強制に社会は支配されたのである。
このように、事実上の強制力を得た行政指導であるが、現実にそこで行われたのはお願いや「自粛」の「要請」であり、自粛である以上、それは要請にこたえる側の自己責任と認識された。行為主体は都ではなく個々人や各企業となるため、行政側は緻密(ちみつ)なエビデンスや必要性・合理性を、責任をもって示す必要には迫られなかった。飲食店がほんとうにどこまで危険なのか、飲食店での感染防止のために営業時間短縮以外の方法はないのか、などを真剣に考える必要はなかったのだ。
権利の制約に伴う影響の緩和するため、どんな補償が必要かという議論がないように見えるのも、行政側の覚悟の欠如にも原因があるだろう。そして、このお願いが法的形式としては「公権力の行使」ではなく、処分性がない以上、事実上の強制を受け、損害を被ったのに適切な補償を受けられていない人々が、権利の救済を求めて裁判所に訴えることも論理的に困難だったのである。
岐阜県の古田知事「対策の感染防止効果を特定できない」
岐阜県は今年に入り、「まん延防止等重点措置」が2度延長されました。2022年1月21日~2022年3月21日までの予定です。
岐阜県の古田知事は、県議会で下記のように答弁しています。
「これらのご協力の感染防止効果をどのように特定するかということでございます。まず申し上げなければならないことは、第1に、新型コロナ感染防止対策は、大変広範かつ多岐にわたる総合対策として実施しているところであります。第2にそれらの内容、実行状況などが自治体ごとに異なっております。また第3に、検査、療養、ワクチン接種などの対応にも自治体間で違いがございます。さらには第4に都市部から中山間部まで、あるいは繁華街から過疎地まで、地域の状況は様々であります。こうした事に十分留意する必要がありますが、したがって、各都道府県が実施している一つ一つの対策ごとにその効果を特定することは必ずしも容易ではないと思っております。」2022年3月9日 伊藤英生県議一般質問 知事答弁 伊藤英生県議Facebookより
知事は「対策の感染防止効果を特定できない」と述べています。
このように、コロナの行動規制は、法的に問題があり、科学的根拠もなく、統計的な意味もなく、効果の検証もできないまま、国民・県民に多大な犠牲を強いています。
みんなの笑顔を守る会では、「緊急事態宣言」「まん延防止等重点措置」「独自の非常事態宣言等」による影響を調査するアンケートを実施しました。たくさんの困っている声が集まりました。
そして、岐阜県 古田知事並びに感染症対策推進課 宛に、緊急事態宣言・まん延防止等重点措置・独自の非常事態宣言に関する陳情を行いました。
これからも、みんなの笑顔を守るため、県や各市町村への陳情・要望など、様々な活動に取り組んでいきます!
*本記事は日頃の活動で得た情報をまとめたものです。
Comments